昭和の学校

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昭和の学校

先日、友人の紹介で知り合った同年代の男性Sさんと何度目かの食事に行来ました。

 

お酒をのみながら話も弾み、ふとしたことから話題は懐かしい少年時代へ

 

「僕の小学校は、岩手県にありましてね、木造の、いかにも昭和な感じで。日が暮れるまで校庭で遊んだものです。夏は蝉の声で友達の声が聞こえないくらい」

 

「わかります、ドロケイして夕方になって、カナカナひぐらしが鳴いて」

 

「そうそう懐かしいドロケイ(笑)蝉の声、最近は聞きませんね。蝉がいなくなったのか、単に自分に蝉を気にする余裕がなくなったのか」

 

「大人になってしまったのですか?(笑)」

 

「それならいいんですが(笑)」

 

Sさんは長いまつげをふせるように俯いてから、1口お酒を飲んで打ち明けました。

 

「僕、貴女に懺悔しますけど、廊下の壁にこっそり好きな女の子の名前を掘ったことがあるんです。その女の子のことがすごく好きだったんですけど、告白できませんでした。」

 

「その掘った名前はまだ残ってるんですかね?」

 

「いいえ。残ってないです。数年前に廃校になりましたから。すべては僕のここだけにしか残っていないんです」

 

そういってSさんは胸を叩いて笑いました。それから暫くおいて静かに続けたのです。

 

「僕、大人になろうと思います。あなたが好きです。僕のそばにいてくれませんか?」 

 

私は驚きましたが、我に返って、そして頷きました。グラスの氷がカランと音をたて、Sさんが無邪気な顔で笑ったのです。

 

私は、Sさんのその表情の向こうに廃校になった彼の小学校と、壁にほられた名前を見ました。

 

そしてなんだか温かい気持ちになったのでした。


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